わんにゃんテーブル

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 犬の肝疾患

 「小動物の臨床栄養学」より

犬の銅関連の肝中毒症

・ ペデリントンテリアでは、しばしば銅が蓄積する病気が起こり、二次的に肝障害を起こす。遺伝によるものと推定されており、約25%が罹患しており、50%がキャリアであることが示唆されている。
・ 他の犬種では銅との関連は明らかではないが、ウェストハイランドホワイトテリア、スカイテリア、ケリーブルテリア、コッカースパニエル、ドーベルマンピンシェルなどの慢性肝炎や肝硬変があげられる。銅との関連があるかどうかは、さらなる研究が必要である。

■ たんぱく質
・ たんぱく質の要求量は確定されていないが、成犬の15〜30%(乾物あたり)と類似していると考えられている。
・ 肝性脳症の経歴のある犬では、たんぱく質量をさらに制限する必要があることがしばしばある。

■ 銅
・ 銅の過剰摂取を避けることは、重度な肝障害をまだ起こしていない動物にとって重要である。
・ 銅関連の肝中毒症が疑われる犬、あるいは確定している犬は、銅は5mg/kg(乾物あたり)以下であるべきと言われている。

■ 亜鉛
・ 亜鉛は銅と結合して尿中への銅の排泄を増加させる。
・ 酢酸亜鉛は亜鉛元素源として推奨されており、最も広く用いられている。硫酸亜鉛、メチオニン亜鉛およびグルコン酸亜鉛もまた有効である。
・ 1日2回の亜鉛元素100mgの経口投与を3ヶ月間続け、以後1日2回50mgまで減少させて用いる。悪心や嘔吐の起こらない限り食事とは別に、少量の食事に混ぜて与える。

@はなから
手作り食では、亜鉛は足りていない場合が多いです。上記の量はかなり多いですから、獣医さんの指導の元で行なった方がいいと思います。

■ 抗酸化ビタミン
・ 脂質の過酸化は、銅中毒症の病因になっていると見られている。ビタミンE、ビタミンC、その他の抗酸化物質のサプリメントの利用は有益と思われる。
・ ビタミンE・Cの安全で効果のある量は特定されていないが、400〜500IUのビタミンE、500〜1000mgのビタミンCを経口投与することが炎症性肝疾患の犬では推奨されている。

門脈体静脈シャント

・ 門脈体静脈シャントは先天性のものが一般的である。
・ 成長不良や体重増加不全は、先天性シャントの若い動物で起こりやすい。

■ 炭水化物
・ 実験的研究で、炭水化物が多く含まれる食事を与えることは有利であると主張されている。易消化性溶解性炭水化物を複合した(例えばトウモロコシ、米、小麦、大麦)形態で少なくとも1日カロリーの30〜50%を与えることは、脳症の臨床徴候を防ぐのに役立つと思われる。

■ 脂質
・ 脂肪便がない限り、中程度の脂肪摂取量、15〜30%(乾物あたり)が適していると思われる。

■ たんぱく質
・ 外科的に作成したシャント犬での研究結果より、たんぱく質摂取量は、カロリーの14〜16%(たんぱく質15〜20%(乾物あたり))である。
・ 大豆を使った食事は、実験的シャント犬で肝性脳症の徴候を防いだ。
・ 乳製品(特にカッテージチーズ)は、門脈体静脈シャントと慢性肝機能不全の犬と猫の自家製フードに推奨されている。
・ 高BCAA低AAAの食事が推奨されているが、ヒトや犬で有益であるかどうかは明らかではない。対照的に、適度なたんぱく質の制限をしている食事を与えることは門脈体静脈シャント犬での体重減少と神経症状の進行を防ぐ。

@はなから
高BCAA低AAAは、アミノ酸バランスのことです。調べてみてね。

慢性肝炎と肝硬変

■ エネルギー
・ 肝性脳症の経歴のある患者は、炭水化物と脂肪とでエネルギー分配するべきである。

■ たんぱく質
・ たんぱく質は肝細胞再生を導く役割を果たしている。
・ その一方で、たんぱく質、もっと正確に言うと窒素過剰は、アミノ酸がアンモニアに代謝された時、神経毒の前駆物質を形成するのに最も深く関わるものである。
・ 肝疾患の患者に関する治療の目的は、肝性脳症を引き起こすかもしれないたんぱく質の過剰摂取を避けながら、肝細胞再生を助ける適切なたんぱく質量を供給することである。
・ 成犬では、たんぱく質15〜30%(乾物量)と考えられている。

■ 抗酸化物質
・ 脂質の過酸化は、急性の肝傷害、慢性肝炎の病因になるため、ビタミンE、Cおよび他の抗酸化物質のサプリメントは有益と思われる。
・ ビタミンE・Cの安全で効果のある量は特定されていないが、400〜500IUのビタミンE、500〜1000mgのビタミンCを経口投与することが推奨されている。

門脈圧亢進症

■ エネルギーとたんぱく質
・ 慢性肝炎・肝硬変に同じ。

■ ナトリウム
・ 塩化ナトリウムは、腹水、門脈圧亢進症および著しい低アルブミン血症の動物に過剰に与えるべきではない。腎疾患・心疾患の患者に対して推奨されているような塩化ナトリウムの制限が適切である。
・ ナトリウム量0.10〜0.25%(乾物あたり)が推奨される。

他の栄養因子

■ 脂肪
・ 肝疾患の患者での食事中脂肪の役割は特に定義されていないが、食事中脂質は有益である。なぜなら、
   ・ たんぱく質節約の効果がある。
   ・ 炭水化物の不耐性を減らす。
   ・ 脂溶性ビタミンの吸収を促進する。
   ・ 嗜好性を高める。
   ・ 重要なエネルギー源である。
   ・ 必須脂肪酸である。
・ 重度の脂肪吸収障害は、肝疾患および胆管炎の動物で起こることがある。
・ 実験的病変を持たせた犬に対する多くの研究では、脂肪20〜35%(乾物あたり)の食事が体調を改善することが報告されている。
・ 肝疾患の犬と猫では、日常の食事中脂肪を制限する理由はないように思われる。
・重度な胆管炎および脂肪便がない限り、犬では15〜30%(乾物あたり)の食事が適していると思われる。
・ 脂肪便が問題となる場合は、膵外分泌機能不全のような脂肪吸収不全を起こしているか、胆管障害を起こしている場合である。
・ 食事中のn-3 系脂肪酸を増加することは、炎症性肝疾患の動物で有益である。

■ 繊維
・ 食事中繊維を増量した食事は、肝・胆道系疾患の患者にとって有益である。
・ 食事中繊維は、胃腸管での窒素残滓の産生と利用を減少させる。
・ オオバコの皮の繊維を補給してもよい。

■ 鉄
・ 鉄不足は、慢性肝炎、門脈亢進症または胆管閉塞と共に消化管潰瘍・出血を起こした患者で起こることがある。
・ 鉄の補給は、血清鉄濃度が低値のとき、低クロール血症、胃腸での出血や慢性血液喪失の場合に必要となる。
・ 自家製フードでは多くの場合、鉄の補給が必要である。
・ 肝生検で慢性肝炎とされた犬や、二次的に起こるヘモジデリン沈着症がわかった犬では、過剰な鉄の摂取はさけるべきである。
・ 80〜140mg/kg(乾物あたり)の鉄は、過剰摂取することなしに許容量を満たすものとなっている。

■ 亜鉛
・ 亜鉛不足がヒトの肝疾患患者に多いことを示す証拠は多い。
・ 200mg/kg(乾物あたり)以上含まれように補給するべきである。

■ カリウム
・ 低カリウム血症は危険である。
・ 肝疾患の犬や猫の食事には、十分なカリウム 0.8〜1.0%(乾物あたり)を供給するべきである。

■ ビタミン
・ ビタミン不足は、慢性肝炎の患者でよくみられる。
・ 肝臓中の葉酸、リボフラビン(B 2)、ニコチンアミド(ナイアシン)、パントテン酸、ピリドキシン(B 6)、ビタミンB 12は、ヒトの肝硬変患者で減少する。
・ 水溶性ビタミンの補給は以下の患者で望ましい。
   ・ 腹水に対する積極的な利尿薬治療を受けている
   ・ 重度な多飲多尿
   ・ 長期間の食欲不振
   ・ 自家製フードを食べている
・ ビタミンKは慢性肝疾患動物、長期間の胆肝炎動物、および過度の出血を起こした動物で重要になりつつある。
・ 慢性肝疾患患者は、ビタミンK不足かもしれないし、ビタミンK 1を活性型に変えることができないかもしれない。

推奨レベル

【エネルギー】
毎日十分なエネルギー摂取量を供給する。エネルギー密度 4.0Kcal/g(乾物)以上

【たんぱく質】
15〜30%(乾物あたり)
肝性脳症を示す犬は、臨床徴候をコントロールするために、しばしばより低いたん白制限食が必要である。

【脂肪】
15〜30%
脂肪摂取量は、脂肪便のある患者では制限する必要がある。

【繊維】
発酵性繊維を増量した食事を与える。総食物繊維3〜8%

【塩化ナトリウム】
過剰な塩化ナトリウム食を避ける。ナトリウム 0.1〜0.25%

【カリウム】
十分なカリウム含量の食事を与える。0.8〜1.0%

【抗酸化ビタミン】
ビタミンE 400〜500IU/日
ビタミンC 500〜1000mg/日ビタミンC

【アルギニン】
アルギニン増量食を与える。1.2〜2.0%

★銅関連の中毒症の場合
過剰な銅含量の食事を避ける。5.0ppm(乾物あたり)以下
補給用亜鉛を与える。亜鉛元素として50〜100mg、1日2回(獣医さんと相談)

%は、すべて乾燥重量あたりです。

この数値を参考にレシピを作りたい場合は、「結果」シートの「疾患別推奨量」の枠内に下の図のように入力します。「%」は入力しなくても、数字を入力すれば出てきます。

犬の肝疾患用推奨レベル

これ以外の栄養素については、他の基準を参考にすることになると思います。

 リチャード・H・ピトケアン著「イヌの健康ガイド」より

・ 肝炎初期の急性の段階では断食が最良の手段。特に熱がある場合。
(断食の方法については、本に詳しく書いてあります)
・ ビタミンCを与える。大きさに応じて、500〜2000mgを1日4回。ビタミンC
・ 状態が改善して症状がおさまってきたら、腎不全用の食事に似たものに徐々に切り替える。
・ 正常に戻るまで、脂肪の少ない肉を使用し、油の使用をやめる。正常に戻ったら、少量から始めて再導入する。
・ 卵を与えてもよい。
・ 1日分を4回に分けて与える。
・ 回復して1〜2ヶ月たてば、通常のレシピに戻してもよい。
・ 新鮮なパセリのみじん切り大さじ1〜2杯を与えるのもよい。
・ 回復期もビタミンCは続け、すべての症状がなくなったら普通はビタミンCをやめてもかまわない。

 本村伸子著「胃腸が弱いではすまされない!」より

■ 肝炎のケア
・ なるべく脂肪を控える。
・ 炭水化物は質のよいものを。
・ 着色料、合成添加物の入っていないフードにする。
・ 腸の働きが悪くなると、肝臓に有害物質が入りやすくなる。

■ 食事
・ 抗酸化物やグルタチオンの豊富な食材を加える。
・ カロテンが豊富 : にんじん、かぼちゃ、パセリ、ほうれん草、小松菜
・ ビタミンAとグルタチオンが豊富:肝臓、卵
・ グルタチオンとカロテンが豊富:ブロッコリー
・ ビタミンCが豊富:にがうり、芽キャベツ、柑橘系の果物
・ 油が比較的多めの食事のとき:ビタミンEサプリメント

 ドナルド・R・ストロンベック著「犬と猫のための手作り食」より

■ 薬物による治療
・ 肝臓病を治療するのに必要な薬品はほとんどない。できるなら薬品の使用はすべてやめるべき。肝臓に損傷を与える薬品が多く、多くの薬品は肝臓で代謝される。
・ 慢性の肝臓の炎症(肝炎)には、コルチコステロイド治療が必要。この治療なしでは炎症が継続する。コルチコステロイドは、肝炎がないときには与えてはならない。
・ 抗生物質は肝臓病の動物の治療にしばしば有効である。肝臓での代謝の必要がない薬を選ぶこと。
・ 人間の肝臓病の治療に使われる薬品で、犬や猫の肝臓病の治療に有効と証明された薬品は他にはない。
・ 肝性脳症に対する薬物治療は概して有効ではない。

■ 検 査
・ 血液検査が役立つ。
・ レントゲン写真は、ほとんど役にたたない。
・ 肝臓生検は必須ではないが、原発性の肝臓病に関しては、治療や予後について重要。

■ 糖 質
・ 質がよく消化の良いものを選ぶ。未消化の糖質は発酵し、腸内細菌が増え、アンモニアを生成する。アンモニアは結腸で吸収され、血中のアンモニア濃度が増加し、肝性脳症の原因となる。
・ 繊維はアンモニアの便への分泌を促進し、アンモニアの吸収が低下するので重要である。

■ たんぱく質・アミノ酸
・ たんぱく質不耐症にならない程度のたんぱく質を与える。
・ 過剰なたんぱく質は脳症が発症・悪化する。
・ たんぱく質制限は、管理不可能な肝性脳症のときのみ必要である。
・ たんぱく質の含量は10%(乾物あたり)以下が望ましい。
・ 低アルブミン血症のようなたん白欠乏症の場合は、増やすべきである。
・ 生物価の高いたんぱく質は、ほとんどアンモニアに転換されることがない。(腎疾患のアミノ酸の説明をご覧ください。)
・ たん白源は、肉ではなく、乳たん白と大豆たん白(カッテージチーズや豆腐)が推奨される。
・ メチオニンは最低限にするべきである。
・ アルギニンとシトルリンは、アンモニアの脳機能に対する毒性を低減する。

■ 脂 肪
・ 肝臓病の犬には脂肪20〜25%(乾物あたり)の食事を与えることが推奨される。
・ 遊離脂肪酸はアンモニア代謝を妨害し、過アンモニア血症に関与しているが、食事中の脂肪は血漿中の遊離脂肪酸を増やさない。
・ 絶食すると、血漿中の遊離脂肪酸は増加する。

■ ビタミン
・ 過剰なビタミンAは、肝臓の損傷を悪化させる。
・ ビタミンEとビタミンKは、肝臓病に有効である。
・ ビタミンEは、1日あたり500mgを与えることができる。
・ ビタミンCは肝臓で産生されるが、肝臓の損傷を防止するのに有効であり、脂肪の過酸化を防止する。体重1kgあたり25mgまで与えることができる。
・ ビタミンCは、肝臓に蓄積された銅を排出し、症状を悪化させる可能性がある。
・ ビタミンB群は、食欲不振後に食欲が回復した場合は、体重維持に必要な量よりはるかに多い量が必要である。通常量の2倍の水溶性ビタミンを毎日摂取するべきである。

■ ミネラル
・ 亜鉛を補給する。1日に、
   グルコン酸亜鉛なら 3mg/kg(体重)
   硫酸亜鉛なら 2mg/kg(体重)・・胃腸の炎症を低く抑える限界量
 1日3回に分けて与える。
・ 銅は最小限にとどめるべきである。

■ その他
・ 過アンモニア血症は、結腸内容物を頻繁に排出する方法で治療できる。 自然な下剤として、生のジャガイモデンプンがある。体重1kgあたり8g以上与えると、便が緩くなり頻繁になる。
・ 絶食は、肝細胞を守り肝臓の損傷を抑制するのに必要なグルタチオンや他の栄養素を枯渇させてしまう。

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