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 犬のストルバイト尿石症

 「小動物の臨床栄養学」より

尿路感染のある成犬

■ 尿路感染症の排除
・ 犬のストルバイト尿石症は、尿路感染症と密接な関係があると言われている。
・ 尿路感染症を排除またはコントロールすることが重要である。

■ 抗菌薬とウレアーゼ阻害薬
・ 症例によっては、抗菌薬だけでもストルバイト尿石が溶解することもあるが、研究では、これは例外であることを示している。溶解用療法食との併用が推奨される。
・ 療法食と抗菌薬の適切な使用でも尿石が溶解しない場合には、アセトヒドロ キサム酸(ウレアーゼ阻害薬)を追加の治療として用いるが、溶血性貧血やビ リルビン代謝異常を引き起こす可能性があるため、日常的に使用することは薦 められない。
・ 尿路感染症が消えない、または再発したならば、抗菌薬を予防的投与量で無期限治療するべきである。抗菌薬の種類は、直近の感受性試験によって決定すること。

@はなから
[抗菌薬の感受性試験]というのは、耐性テストとも呼ばれるもので、どの抗菌薬なら効果があるかを調べるものです。抗菌薬を飲ませていない状態(尿に抗菌薬が出ていない状態)の尿で調べます。調べるたびに変わっていることがあります。「直近の」検査が大切なわけです。必ず、テストした方がいいと思います。効かない薬を飲み続けるのは、体に負担になるだけのような気がします。

■ たんぱく質
・ 過剰なたんぱく質は、尿中の尿素を増加させ、ストルバイト尿石の形成を促進する。

■ 腎機能低下の場合
・ 数週間かけて尿石を溶解する療法は、腎機能の低下している場合にはあまり効果がないように思われる。重度のたんぱく質失調を引き起こすことがある。

■ 結石溶解後
・ 小さな尿石はX線や超音波検査で見落とす可能性があるため、結石溶解を確認してから少なくとも1ヶ月は食事療法と抗菌薬による治療を続けるべきである。

■ 尿路閉塞
・ 尿路感染症の合併のある患者の完全な尿路閉塞は緊急事態と考えねばならない。急激な尿路感染の悪化、尿石による傷害、特に腎臓への傷害が起きると腎盂腎炎に続いて、敗血症や急性腎不全を引き起こしやすくなる。

持続性無菌尿の成犬

・ 犬は、マグネシウムとリン酸の多い食事では、無菌性ストルバイト尿石になりやすいと予想される。
・ 無菌性ストルバイトは、再発しやすい傾向にある。

■ たんぱく質の制限は
・ 無菌性ストルバイト尿石を溶解させるのに、たんぱく質の制限は必要ではない。しかし、たん白制限食は多尿状態を引き起こし、その結果、無菌性ストルバイト溶解の割合を増加させるという利点もある。

■ 尿の酸性化
・ 尿のpHをおよそ6.0に酸化させることは無菌性ストルバイトの溶解促進に効果的である。

・ (猫での実験ですが)炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウムは、尿をアルカリ化する。塩化カルシウムは、尿を酸性化する。
・ リン酸第二カルシウムとアスコルビン酸は、何の影響もなかった。
アスコルビン酸、乳酸、クエン酸などの有機酸は、相当量が腎臓から排泄されない限り尿pHは変化しない。
バランスのとれた食事を与えられている猫に、アスコルビン酸を投与しても、体重あたり1000mg未満であれば、尿pHに有意な影響は及ぼさない。

@はなから
塩化カルシウムについては、雪の上にまくものくらいしかわかりません。アスコルビン酸はビタミンCのことですね、尿は酸性にならないんでしょうか。

■ 薬
・ 二次的な尿路感染が認められるまでは、抗生物質やウレアーゼ阻害薬は必要ではない。

■ シュウ酸カルシウムまたはリン酸カルシウム尿石症の病歴のある犬
・ シュウ酸カルシウムまたはリン酸カルシウム尿石症の病歴のある犬の食事は、シュウ酸カルシウムやリン酸カルシウム尿石の再発を減らすようにすることを推奨する。ストルバイト尿石が再発しても、食事療法と抗菌薬の使用により溶解させることができるが、シュウ酸カルシウムとリン酸カルシウム尿石は、外科的に除去するしかないからである。

幼犬

・ 成長期の犬へのたん白制限食は注意して行う。
・ アセトヒドロキサム酸の成長期の犬への使用は評価がなされていない。
・ 将来、研究が進むまでは、手術は幼犬の大きな尿石を除去する最も安全な方法といえる。小さな膀胱結石は、尿路水圧推進法により除去できることがある。

注意

・ 市販のストルバイト溶解用療法食はたんぱく質が制限され、塩化ナトリウムが添加されている。この2つは体液バランスに影響を及ぼす。水分過剰(たとえば、心不全、ネフローゼ)、高血圧をもたらす合併症を持つ犬に、日常的にこの療法食を与えるべきではない。

・ 溶解用療法食は比較的脂肪分が多く含まれている。膵炎の危険性が高い患者に溶解用療法食を用いる場合は、膵酵素の検査を定期的に行い、注意して使用すること。

@はなから
「小動物の臨床栄養学」はヒルズ関係の本ですので、ここで出てくる溶解用療法食とはs/dのことです。s/dは、予防的な投与(数ヶ月〜数年)のためではなく、数週間〜数ヶ月の使用を目的に開発された療法食です。

推奨レベル

 【水】
 尿比重を1.020以下にするために、水の摂取を奨励

 【たんぱく質】
 過剰なたんぱく質の摂取を避ける。
  溶解 : 8%以下
  予防 : 25%以下

 【マグネシウム】
 過剰なマグネシウムの摂取を避ける。
  溶解 : 0.02%以下
  予防 : 0.04〜0.1%

 【リン】
 過剰なリンの摂取を避ける。
  溶解 : 0.1%以下
  予防 : 0.6%以下

 【尿pH】
 酸性尿を維持する食事を与える。
  溶解 : 尿pH=5.9〜6.1
  予防 : 尿pH=6.2〜6.4  尿pHを計る

 %は、すべて乾燥重量あたりです。


この数値を参考にレシピを作りたい場合は、「結果」シートの「疾患別推奨量」の枠内に下の図のように入力します。「%」は入力しなくても、数字を入力すれば出てきます。

犬のストルバイト尿石症(予防)用推奨レベル

これ以外の栄養素については、他の基準を参考にすることになると思います。


@はなから
溶解用の推奨レベルに合わせたレシピを作るのは無理だと思います。
ほとんどの栄養は、すべてサプリメントで摂ることになってしまいます。
予防用レベルならレシピは簡単に作れますが、どうやって尿を酸性にするかは悩まなくては。

 リチャード・H・ピトケアン著「イヌの健康ガイド」より

これは、石の種類にかかわらず、役に立つ一般的な助言です。なかなかおさまらなくて頻発する病気については、もっと特効的で個体に合わせた治療が必要でしょう。

■ ビタミンA(肝油ではない場合)
 膀胱と泌尿器官の内壁が最良の状態に保たれる。
  小型犬(9kg未満) 2500 IU/日
  中型犬(9〜18kg) 5000 IU/日
  大型犬(18kg以上) 10000 IU/日   ビタミンA

@はなから
「肝油ではない場合」というのがどういう意味なのかわからないんですが、レバーで摂っていいものかどうか・・・この量は多めのように思うんですが。。。

■ ビタミンC
 解毒を助けて尿を酸性にし、細菌性の感染症が抑えられ、石ができる可能性が少なくなる。
  小型犬(9kg未満) 250mgを1日2回
  中型犬(9〜18kg) 500mgを1日2回
  大型犬(18kg以上) 500mgを1日3回   ビタミンC

■ ビタミンBコンプレックス
 この病気に一番重要なビタミンB群はB 2とB 6だが、単独で与えないで、必ずBコンプレックスを与える。
  小型犬(9kg未満)  10mg/日
  中型犬(9〜18kg)・大型犬(18kg以上)  20mg/日  ビタミンB

■ マグネシウム
 石の再形成を防ぐのに役立つ。
  小型犬(9kg未満) 50mg/日
  中型犬(9〜18kg) 100mg/日
  大型犬(18kg以上) 300mg/日   マグネシウム

@はなから
マグネシウムについては、ピトケアンさんの意見は「小動物の臨床栄養学」に書かれていることと異なります。療法食は、マグネシウムを抑えてあるものが多いです。ビタミンCは、シュウ酸カルシウム尿石の場合はやめておいた方がよさそうです。

 本村伸子著「ペットの老後を健やかに!」より

・ ストルバイト尿石の形成の最も大きな要因は、尿をできるだけ酸性に保つことだ。
・ 肉類とメチオニンが豊富な卵を中心とした食事にすれば、通常は自然と酸性尿になる。
・ 果物・野菜は、尿がアルカリ性に傾く。特にジャガイモは酸性にしたい時には避ける。
・ デンプン・たんぱく質は、尿が酸性に傾く。ミルクは酸性にしたい時には避ける。
・ 抗生物質を与えているときは、プロバイオティックスを与える。
・ ニンニクは、炎症を緩和して免疫力を強化する。
・ りんご酢は、膀胱の炎症を抑える。
・ ビタミンCは、利尿作用があり、免疫力も強化する。

@はなから
もしかしたら「小動物の臨床栄養学」の「たんぱく質の過剰摂取を避ける」という意見とぶつかるかもしれませんね。
「りんご酢で尿が酸性になった」という話も耳にしています。
ニンニクを与えるときは、注意が必要食べさせてはいけないもの
抗生物質を与えているときは、ビタミンKもしっかり摂った方がよさそうビタミンK

 ドナルド・R・ストロンベック著「犬と猫のための手作り食」より

たんぱく質、マグネシウム、リン酸含有量の低い食事が、ストルバイト尿石を解消すると報告されているが、これらの報告では、尿路感染用の抗生物質も一緒に投与されていた。
抗生物質治療の方がはるかに有効であり、抗生物質を投与しなければ尿石はそのまま残る。
ストルバイト尿石症の犬には、食事は決定的な要因ではない。
抗生物質を投与すれば、特に食事制限をしなくても結石が融解・消失する。

@はなから  「抗生物質だけで溶解する」というのは、「小動物の臨床栄養学」に書かれていることと異なります。
いろいろな意見がありますね。試してみるしかないんでしょうか。

 クランベリー

■ 本村伸子著「ペットの老後を健やかに!」より
尿を酸性にし、膀胱炎に効果のあるキナ酸を豊富に含んでいる。
1日3回クランベリーサプリメントを与える。
  猫・小型犬 100mg/回
  中型犬   200mg/回
  大型犬   300mg/回
  超大型犬  400mg/回

■ ジーン・カーパー著「食事で治す本 (下)」より
長いあいだ、医学会ではクランベリーが尿を酸性化し、細菌を殺すか抑制するのではないかと思われてきたが、それはおそらく誤りである。
クランベリーは、尿を細菌が殺せるまでの酸性にはしない。
クランベリーが膀胱炎の再発を防ぐのは、クランベリーに含まれている物質が、大腸菌の付属肢を使えないようにするためだ。

■ 「ペットのためのハーブ大百科」より
クランベリーは尿道や膀胱の殺菌効果がある。しかし、クランベリージュースは、膀胱炎の予防はできても治癒はしないという研究報告がある。
犬や猫に与える場合は30ml、パウダーなら小さじ1/4杯ほどで、治療はともかく感染の予防には効果があるだろう。

■ 注意
・ pHが低く、シュウ酸カルシウムが出る場合はクランベリーは与えないこと。
・ クランベリー中のキナ酸は肝臓で代謝されて腎臓で排泄されるので、肝機能、腎機能が悪い場合は、与える量に注意が必要。
・ 大きな副作用はないが、クランベリージュースはある種の薬剤(抗欝剤、処方鎮痛剤を含む全ての弱アルカリ性の薬剤)の排出を急速に行うよう腎臓に働きかけるため、薬の効果を弱めることがある。(うさぎうまさん「尿路・膀胱のトラブル」より)
・ ストルバイト用の療法食には尿酸化剤が入っているでしょうし、薬をあげている場合も、使わない方がいいんじゃないかなあと思います。

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