わんにゃんテーブル

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 猫の肝疾患

 「小動物の臨床栄養学」より

猫の肝脂肪症

・ 特発性肝脂肪症の猫の多くは、肥満であり、しばしばストレスの多い出来事の後に長期の食欲不振という病歴がある。
・ 絶食中に肝脂肪症を引き起こす原因は、完全にはわかっていない。
・ この命を脅かす疾患の予後は、長期の経腸給餌(3〜8週間もしくはそれ以上)により、劇的に改善された。

■ エネルギー
・ 適切なエネルギーを供給することは、猫の肝脂肪症の治療において成功の基礎となる。
・ 脂肪が25〜40%(乾物あたり)で、4.4kcal/g以上のエネルギー密度が推奨される。

■ たんぱく質
・ ごく稀にみられる肝性脳症を併発していない限り、たんぱく質30〜45%(乾物あたり)の食事が推奨される。

■ カリウム
・ 低カリウム血症は、食欲不振を長期化させたり、肝性脳症の症状を悪化させたりするので危険である。
・ カリウム0.8〜1.0%(乾物あたり)の食事が推奨される。

■ カルニチン
・ 肝脂肪症の猫には、1日250〜500mgのL-カルニチン量を薦める。
・ 低容量(7〜14mg/kg体重)が、体重減少、肥満からの回避および猫の肝脂肪症に有益な効果をもたらすことがわかっている。

門脈体静脈シャント

・ 門脈体静脈シャントは先天性のものが一般的である。
・ 成長不良や体重増加不全は、先天性シャントの若い動物で起こりやすい。

■ 炭水化物
・ 実験的研究で、炭水化物が多く含まれる食事を与えることは有利であると主張されている。易消化性溶解性炭水化物を複合した(例えばトウモロコシ、米、小麦、大麦)形態で少なくとも1日カロリーの30〜50%を与えることは、脳症の臨床徴候を防ぐのに役立つと思われる。

■ 脂質
・ 脂肪便がない限り、中程度の脂肪摂取量、20〜40%(乾物あたり)が適していると思われる。

■ たんぱく質
・ 外科的に作成したシャント犬での研究結果より、猫では、たんぱく質摂取量はカロリーの25〜30%(たんぱく質30〜35%(乾物あたり))である。
・ 乳製品(特にカッテージチーズ)は、門脈体静脈シャントと慢性肝機能不全の犬と猫の自家製フードに推奨されている。
・ 高BCAA低AAAの食事が推奨されているが、ヒトや犬で有益であるかどうかは明らかではない。対照的に、適度なたんぱく質の制限をしている食事を与えることは門脈体静脈シャント犬での体重減少と神経症状の進行を防ぐ。

@はなから
高BCAA低AAAは、アミノ酸バランスのことです。調べてみてね。

慢性肝炎と肝硬変

■ エネルギー
・ 肝性脳症の経歴のある患者は、炭水化物と脂肪とでエネルギー分配するべきである。

■ たんぱく質
・ たんぱく質は肝細胞再生を導く役割を果たしている。
・ その一方で、たんぱく質、もっと正確に言うと窒素過剰は、アミノ酸がアンモニアに代謝された時、神経毒の前駆物質を形成するのに最も深く関わるものである。
・ 肝疾患の患者に関する治療の目的は、肝性脳症を引き起こすかもしれないたんぱく質の過剰摂取を避けながら、肝細胞再生を助ける適切なたんぱく質量を供給することである。
・ 成猫では、たんぱく質30〜45%(乾物量)と考えられている。

■ 抗酸化物質
・ 脂質の過酸化は、急性の肝傷害、慢性肝炎の病因になるため、ビタミンE、Cおよび他の抗酸化物質のサプリメントは有益と思われる。

門脈圧亢進症

■ エネルギーとたんぱく質
・ 慢性肝炎・肝硬変に同じ。

■ ナトリウム
・ 塩化ナトリウムは、腹水、門脈圧亢進症および著しい低アルブミン血症の動物に過剰に与えるべきではない。腎疾患・心疾患の患者に対して推奨されているような塩化ナトリウムの制限が適切である。
・ ナトリウム量0.20〜0.35%(乾物あたり)が推奨される。

他の栄養因子

■ 脂肪
・ 肝疾患の患者での食事中脂肪の役割は特に定義されていないが、食事中脂質は有益である。なぜなら、
   ・ たんぱく質節約の効果がある。
   ・ 炭水化物の不耐性を減らす。
   ・ 脂溶性ビタミンの吸収を促進する。
   ・ 嗜好性を高める。
   ・ 重要なエネルギー源である。
   ・ 必須脂肪酸である。
・ 重度の脂肪吸収障害は、肝疾患および胆管炎の動物で起こることがある。
・ 肝疾患の犬と猫では、日常の食事中脂肪を制限する理由はないように思われる。
・重度な胆管炎および脂肪便がない限り、猫では20〜40%(乾物あたり)の食事が適していると思われる。
・ 脂肪便が問題となる場合は、膵外分泌機能不全のような脂肪吸収不全を起こしているか、胆管障害を起こしている場合である。
・ 食事中のn-3 系脂肪酸を増加することは、炎症性肝疾患の動物で有益である。

■ 繊維
・ 食事中繊維を増量した食事は、肝・胆道系疾患の患者にとって有益である。
・ 食事中繊維は、胃腸管での窒素残滓の産生と利用を減少させる。
・ オオバコの皮の繊維を補給してもよい。

■ 鉄
・ 鉄不足は、慢性肝炎、門脈亢進症または胆管閉塞と共に消化管潰瘍・出血を起こした患者で起こることがある。
・ 鉄の補給は、血清鉄濃度が低値のとき、低クロール血症、胃腸での出血や慢性血液喪失の場合に必要となる。
・ 自家製フードでは多くの場合、鉄の補給が必要である。

■ 亜鉛
・ 亜鉛不足がヒトの肝疾患患者に多いことを示す証拠は多い。

■ カリウム
・ 低カリウム血症は危険である。
・ 肝疾患の犬や猫の食事には、十分なカリウム 0.8〜1.0(乾物あたり)を供給するべきである。

■ ビタミン
・ ビタミン不足は、慢性肝炎の患者でよくみられる。
・ 肝臓中の葉酸、リボフラビン(B 2)、ニコチンアミド(ナイアシン)、パントテン酸、ピリドキシン(B 6)、ビタミンB 12は、ヒトの肝硬変患者で減少する。
・ 水溶性ビタミンの補給は以下の患者で望ましい。
   ・ 腹水に対する積極的な利尿薬治療を受けている
   ・ 重度な多飲多尿
   ・ 長期間の食欲不振
   ・ 自家製フードを食べている
・ ビタミンKは慢性肝疾患動物、長期間の胆肝炎動物、および過度の出血を起こした動物で重要になりつつある。
・ 慢性肝疾患患者は、ビタミンK不足かもしれないし、ビタミンK 1を活性型に変えることができないかもしれない。

推奨レベル

【エネルギー】
 毎日十分なエネルギー摂取量を供給する。エネルギー密度 4.0Kcal/g(乾物)以上

【たんぱく質】
 30〜45%(乾物あたり)

【脂肪】
20〜40%(乾物あたり)
脂肪摂取量は、脂肪便のある患者では制限する必要がある。

【繊維】
発酵性繊維を増量した食事を与える。総食物繊維3〜8%

【塩化ナトリウム】
過剰な塩化ナトリウム食を避ける。ナトリウム 0.2〜0.35%

【カリウム】
十分なカリウム含量の食事を与える。0.8〜1.0%

【タウリン】
1日250〜500mgのタウリン含量の自家製フード

【アルギニン】
アルギニン増量食を与える。1.5〜2.0%

【カルニチン】
猫肝脂肪症の場合、カルニチン 250〜500mg/日

%は、すべて乾燥重量あたりです。

この数値を参考にレシピを作りたい場合は、「結果」シートの「疾患別推奨量」の枠内に下の図のように入力します。「%」は入力しなくても、数字を入力すれば出てきます。

猫の肝疾患用推奨レベル

これ以外の栄養素については、他の基準を参考にすることになると思います。

 リチャード・H・ピトケアン著「ネコの健康ガイド」より

・ 肝炎初期の急性の段階では断食が最良の手段。特に熱がある場合。
(断食の方法については、本に詳しく書いてあります)
・ ビタミンCを与える。500mgを1日4回。ビタミンC
・ 状態が改善して症状がおさまってきたら、腎不全用の食事に似たものに徐々に切り替える。
・ 正常に戻るまで、脂肪の少ない肉を使用し、油の使用をやめる。正常に戻ったら、少量から始めて再導入する。
・ 卵を与えてもよい。
・ 1日分を4回に分けて与える。
・ 回復して1〜2ヶ月たてば、通常のレシピに戻してもよい。
・ 新鮮なパセリのみじん切り大さじ1〜2杯を与えるのもよい。
・ 回復期もビタミンCは続け、すべての症状がなくなったら普通はビタミンCをやめてもかまわない。

 本村伸子著「胃腸が弱いではすまされない!」より

■ 肝炎のケア
・ なるべく脂肪を控える。
・ 炭水化物は質のよいものを。
・ 着色料、合成添加物の入っていないフードにする。
・ 腸の働きが悪くなると、肝臓に有害物質が入りやすくなる。

■ 脂肪肝
・ 肥満の猫によくみられる。
・ 肥満の猫が数日間何も食べなかったり、急激な減量を強いられた場合に起きる。
・ 皮下に蓄積した脂肪を肝臓で糖質の変換するために、一気に大量の脂肪が肝臓へ集まる。
・ 重症例では死亡することがある。肥満にならないような食事管理が大切である。

■ 食事
・ 抗酸化物やグルタチオンの豊富な食材を加える。
・ カロテンが豊富 : にんじん、かぼちゃ、パセリ、ほうれん草、小松菜
・ ビタミンAとグルタチオンが豊富:肝臓、卵
・ グルタチオンとカロテンが豊富:ブロッコリー
・ ビタミンCが豊富:にがうり、芽キャベツ、柑橘系の果物
・ 油が比較的多めの食事のとき:ビタミンEサプリメント

 ドナルド・R・ストロンベック著「犬と猫のための手作り食」より

■ 薬物による治療
・ 肝臓病を治療するのに必要な薬品はほとんどない。できるなら薬品の使用はすべてやめるべき。肝臓に損傷を与える薬品が多く、多くの薬品は肝臓で代謝される。
・ 慢性の肝臓の炎症(肝炎)には、コルチコステロイド治療が必要。この治療なしでは炎症が継続する。コルチコステロイドは、肝炎がないときには与えてはならない。
・ 抗生物質は肝臓病の動物の治療にしばしば有効である。肝臓での代謝の必要がない薬を選ぶこと。
・ 人間の肝臓病の治療に使われる薬品で、犬や猫の肝臓病の治療に有効と証明された薬品は他にはない。
・ 肝性脳症に対する薬物治療は概して有効ではない。

■ 検 査
・ 血液検査が役立つ。
・ レントゲン写真は、ほとんど役にたたない。
・ 肝臓生検は必須ではないが、原発性の肝臓病に関しては、治療や予後について重要。

■ 糖 質
・ 質がよく消化の良いものを選ぶ。未消化の糖質は発酵し、腸内細菌が増え、アンモニアを生成する。アンモニアは結腸で吸収され、血中のアンモニア濃度が増加し、肝性脳症の原因となる。
・ 繊維はアンモニアの便への分泌を促進し、アンモニアの吸収が低下するので重要である。

■ たんぱく質・アミノ酸
・ たんぱく質不耐症にならない程度のたんぱく質を与える。
・ 過剰なたんぱく質は脳症が発症・悪化する。
・ たんぱく質制限は、管理不可能な肝性脳症のときのみ必要である。
・ 生物価の高いたんぱく質は、ほとんどアンモニアに転換されることがない。(腎疾患のアミノ酸の説明をご覧ください。)
・ 猫には、比較的高たんぱくの食事を与えるべきである。
・ たんぱく質は、必要なカロリーの12〜20%を与える。(犬猫では、たんぱく質1g=3.5kcal)
・ メチオニンは最低限にするべきである。
・ アルギニンとシトルリンは、アンモニアの脳機能に対する毒性を低減する。
・ おそらく他の哺乳類と似ていて、肉主体のたんぱく質を与えると肝臓の病状を進行させる。
・ 肉の入っていない食事ではタウリンが欠乏するので、貝を加える。
・ 重症の肝臓病の猫にとっては、経腸食は理想的な食事である。

■ 脂 肪
・ 肝臓病の猫(脂肪肝の猫でさえも)には脂肪20〜25%(乾物あたり)の食事を与えることが推奨される。
・ 遊離脂肪酸はアンモニア代謝を妨害し、過アンモニア血症に関与しているが、食事中の脂肪は血漿中の遊離脂肪酸を増やさない。
・ 絶食すると、血漿中の遊離脂肪酸は増加する。

■ ビタミン
・ 過剰なビタミンAは、肝臓の損傷を悪化させる。
・ ビタミンEとビタミンKは、肝臓病に有効である。
・ ビタミンEは、1日あたり100mgを与えることができる。
・ ビタミンB群は補給するべきである。特にチアミン(B1)が必要で、食欲不振になると、猫はすぐにチアミン欠乏になる。
・ 肝臓病の猫に関しては、ビタミンCと亜鉛の必要量はわかっていない。

■ その他
・ 過アンモニア血症は、結腸内容物を頻繁に排出する方法で治療できる。 自然な下剤として、生のジャガイモデンプンがある。体重1kgあたり8g以上与えると、便が緩くなり頻繁になる。
・ 絶食は、肝細胞を守り肝臓の損傷を抑制するのに必要なグルタチオンや他の栄養素を枯渇させてしまう。
・ 食事の回数を多くする。

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